【要点まとめ】東部経済回廊(EEC)

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こんにちは、のらねこです。

本日はThailand 4.0の政策の中核として掲げている「東部経済回路」(以下、EEC)の開発構想について、詳しくみていきます。

EECはアジア諸国への経済発展への入り口として、タイだけでなく東南アジア中で注目されています。

EEC(東部経済回廊)とは

東部チョンブリ、ラヨン、チャチュンサオの3県にまたがる経済特区(SEZ)「東部経済回廊(EEC)」の開発で、Thailand 4.0で掲げる成長分野のために行うインフラ投資で5年間に1兆5,000億バーツ(約5兆円超)以上の投資を行い、最先端技術の誘致を目指している。

これらの投資は新しく生み出す事業ではなく、過去30年以上かけて発展してきた産業集約エリアをさらに発展的に進化させる大型インフラ投資計画です。

EECのエリア

出典元:EEC ウェブサイト

EECのエリアは、スワンナプーム空港の先(チャチュンサオ県)から、チョンブリ県全体・ラヨン県全体が対象となります。

EEC 12の産業分野と特定産業投資奨励地区

またタイの生産性向上については、人材不足が常に問題として指摘されています。

その対策として、BOIがEECに12のターゲット産業と特別区を設け、優遇策として基本優遇プラス5年間の法人税50%減免、戦略的な事業への15 年間の法人税免除を付与するほか、EECに本社を設置した戦略産業の企業の投資家、経営者、専門家の個人所得税を最大17%免除を掲げております。

また、改正投資奨励法では、ハイテク産業や研究開発(R&D)のBOI認可で事業の法人税を最長13 年間免除するほか、Thailand 4.0 に合致し、経済的な重要性が特に高い新たな投資事業には、競争力強化法を通じて法人税を最長15 年間免除することを打ち出しており、優秀な人材を誘致しようという試みを行っています。

12のターゲット産業分野

既存産業の競争力強化 第一次S字型開発戦略

①次世代自動車 
②スマート・エレクトロニクス
③医療・健康ツーリズム
④農業・バイオテクノロジー
⑤未来食品

未来型産業の育成 第二次S字型開発戦略

⑥オートメーション・ロボット産業
⑦航空・ロジスティック
⑧バイオ燃料とバイオ化学
⑨デジタル産業
⑩医療ハブとなる産業
⑪防衛
⑫教育及び人材開発

EEC「特定産業投資奨励地区」

出典元:EEC ウェブサイト
https://www.eeco.or.th/en/promotional-zone
  • ①EECi イノベーション特区
  • ②EECd デジタルパーク
  • ③EECa 東部航空都市
  • ④EECmd メディカルハブ
  • ⑤EECh 高速鉄道リボンスプロール

EECi イノベーション特区

イノベーション特別区ではイノベーションを促進しており、将来拡大する事業の技術の高度化を図っています。ラヨン県に産業都市の開発していきます。

EECd デジタルパーク

デジタル経済社会省が中心となり、デジタル産業の革新に焦点をあてAIやIOTの研究施設やインターネットを融合させ、人材育成機関や教育機関のほか居住区などを含むスマートシティ(デジタルコミュニティ)を推進しています。

EECa 東部航空都市

ラヨン県ウタパオ空港周辺で、第三ターミナルの建設など、インフラを拡張していきます。

EECmd メディカルハブ

国の高齢化に備えた政策で、チョンブリ県で総合的な医療サービスやヘルスケアを提供する医療ハブを目指していきます。

EECh 高速鉄道リボンスプロール

ドンムアン空港、スワンナプーム空港、ウタパオ空港を結ぶ高速鉄道地域とマッカサン駅を中心に開発を進めていきます。

21か所のターゲット産業奨励工業団地

出典元:EEC ウェブサイト

1.WHA Rayong Industrial Estate WHAラヨン工業団地
2.Eastern Seaboard I.E. (Rayong) イースタンシーボード工業団地
3.WHA Eastern Industrial Estate (Map Ta Phut) WHAイースタンシーボード工業団地
4.WHA Eastern Seaboard I.E.1 WHAイースタンシーボード工業団地1
5.WHA Chonburi I.E.1 WHAチョンブリ工業団地
6.WHA Chonburi I.E.2 WHAチョンブリ工業団地2
7.WHA Eastern Seaboard I.E.2 WHAイースタンシーボード工業団地2
8.WHA Eastern Seaboard I.E.3 WHAイースタンシーボード工業団地3
9.WHA Eastern Seaboard I.E.4 WHAイースタンシーボード工業団地4
10.CPGC I.E. (Rayong) CPGC工業団地
11.Amata City Cholburi I.E. アマタシティチョンブリ工業団地
12.Amata City Cholburi I.E. (2nd Project) アマタシティチョンブリ工業団地(第2)
13.Amata City Rayong I.E. アマタシティラヨン工業団地
14.Pinthong Industrial Estate ピントン工業団地1
15.Pinthong Industrial Estate (Laem Chabang) ピントン工業団地2
16.Pinthong Industrial Estate (3rd Project) ピントン工業団地3
17.Pinthong Industrial Estate (4th Project) ピントン工業団地4
18.Pinthong Industrial Estate (5th Project) ピントン工業団地5
19.TFD I.E.(2nd Project) TFD工業団地(第2)
20.Yamato Industries I.E. ヤマトインダストリーズ工業団地
21.Smart Park I.E. スマートパーク工業団地

投資分野比率は以下の通りです。

図1
出典元:EEC ウェブサイト
のらねこ
のらねこ

EECの投資コア分野は以下の通りです。

EECの投資コア分野

1.インフラ事業
2.産業イノベーションハブ
3.観光事業
4.地域の発展(スマートシティ構想)

インフラ事業

タイは国土が広く、産業分野の工業団地エリアが各地区全土に散らばっています。

その中心となる工業団地へのインフラを大きく整備することで、さらなる投資を望む政策です。

High-Speed Rail Linking 3 Airports

スワンナプーム国際空港ードンムアン国際空港ーウタパオ国際空港
3つの国際空港をつなぐ高速鉄道の建設事業

時速250 Kmの高速鉄道です。

大都市9駅を接続することで、バンコクとEECのエリアがより密接に流通が行われます。

  • Don Mueang,
  • Bang Sue,
  • Makkasan,
  • Suvarnabhumi,
  • Chachoengsao,
  • Chonburi,
  • Si Racha,
  • Pattaya
  • U-Tapao

2025年:完成予定

Double-Track Railway

工業地帯と3つの港(レムチャバン港、マープタープット工業港、サタヒープ港)をつなぐ複線鉄道の建設事業

メインの港湾をつなぐことで、これらが開通すれば運送コストや時間を圧倒的に削減することが可能です。

2023年:完成予定

Intercity Motorway

バンコクからパタヤまでの既存の高速道路のラヨーンまでの延長事業

EECエリア全体に延伸することで、物流機能を向上させます。

2019年:完成

U-Tapao International Airport

ウタパオ国際空港の拡張事業

第三のハブとしてウタパオ空港の増設を行います。旅客主要能力を年6,000万人に引き上げる見通し。

2024年:完成予定

Laem Chabang Port Phase 3

レムチャバン港の拡張(3期)及びマプタプット工業港の拡張(3期)事業。

2025年:完成予定

産業イノベーションハブ

タイは労働力が安価で産業の集落地としてのこれまで拡大してきましたが近年タイの労働賃金の高騰につれ役割を変化させていくことで。

これまで以上にさらなる高付加価値製品の創出していく政策を行っていきます。

  • 次世代自動車(電気・自動)の促進
  • 航空・ロボット・スマート産業の拡大
  • 先進石油化学・バイオエコノミー医療ハブとしての拡大

観光事業の拡大

タイは観光大国としてもアジアでも非常に人気のエリアです。

世界トップ10位の常連でアジアでは中国に次ぐ人気です。

国としての観光資源を武器にインバウンド市場をさらに拡大していこうというものです。

国際観光客到着数
1位 フランス (8,940万人)、
2位 スペイン (8,277.3万人)
3位 アメリカ合衆国 (7,961.8万人)
4位 中国 (6,290万人)
5位 イタリア (6214.6万人)、
6位 トルコ (4,576.8万人)、
7位 メキシコ (4,144.7万人)、
8位 ドイツ(3,88.1万人)、
9位 タイ (3827.7万人)、
10位 イギリス(3631.6万人)、
16位 日本(3,119.2万人)

出典元:世界観光機構 2018年データ

地域の発展(スマートシティ構想)

近代的な都市化システム、生活の質や環境面において国際基準を満たす新都市や公共施設を作り、

グローバル事業のハブとしての確立を目指すDigital Parkといった近代的な環境配慮のまちづくりも目指してします。

ここでは官民一体となり質の高い教育や医療サービス・インターネット環境などで、

最先端のインフラ整備を進めていきます。

予想完成図では電車も近代的な形になっています。

これらが実現するとすごく近未来のような街になりそうです。

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おわりに

今現在はまだバンコクを拠点にする会社が多いのですが、

今後は本社がチョンブリ県という会社も増えていき公共事業や行政もこちらに移設したりとなる可能性もあります。

この壮大なEECプロジェクトですが、国家プロジェクトであるとはいえ、これらの投資のすべてをタイ政府が賄うわけではなく、工業部門の投資の多くは国内外の民間企業に期待しております。

さらにインフラ整備もPPPなどを通じて海外から資金調達することも予定しています。

これだけの規模の計画ですので、実現に資金面の調達は欠かせませんので、本当に実現していけるかどうかは、国だけでなく民間企業との連携が必要になってきます。

タイは人口6億人を超えるASEAN経済圏の中心に位置しますので、これから再び輝けるか。

陽はまた昇る。

ほな、バイバイ!

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